日常の、精神科の診療では、絵に描いたような典型的なケースの方がむしろ少ないと言うべきでしょう。人生の全てを聞くことは不可能だし、得られた情報はどうしても完全ではありません。新たな情報が加わることによって、診断が変わるということは、起こり得るのです。
ところが、それを実際に診断しようとすると、このケースに見るように、とたんに、難しいものとなり、医師によっても判断がわかれてしまう結果となってしまうのです。現状では、この亜型分類は、「患者さんの症状を聞くことによって確実に分類できるような診断分類」というよりも、むしろ、その医師がもつ、「その患者さんをどのように見立てて治療していくか、という治療のための仮説」と言ってもよいかも知れません。
パーソナリティーの障害を基盤として、神経症的なメカニズムでさまざまな精神症状が出現する、と考えることもできるし、うつ病の治療中に賦活症候群が起きたと考えることもできる。
そしてまた、双極性障害を基盤として、不安障害やパーソナリティー障害を合併していると考えることもできる。実際はその他にも、さまざまな見方をする医師(たとえば混合状態という見方など)がいることでしょう。
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